筆者は当サイトをAstro(静的サイトジェネレーター)とCloudflare Pagesの組み合わせで運用しており、ビルド・デプロイ・DNS設定といった公開までの一連の手順を自分で組み立ててきました。その手順一式が「チャットに頼むだけ」で完結するという機能——ChatGPT Sites——がOpenAIから公開され、2026年7月には対象プランが有料プラン全般へ広がりました。本記事は、この機能の公式ドキュメント(learn.chatgpt.com)とヘルプセンターの記事を通読し、何ができて何ができないのかを整理したものです(記述はいずれも2026年7月27日閲覧時点の内容にもとづきます)。

ChatGPT Sitesとは

公式ドキュメントは冒頭でSitesを次のように定義しています。

Sites lets ChatGPT create, host, refine, and share websites, web apps, and games. Use Sites when you want to turn a prompt or compatible existing project into a hosted experience without setting up a separate deployment workflow.

(Sitesを使うと、ChatGPTがWebサイト・Webアプリ・ゲームを作成し、ホスティングし、改良し、共有できます。プロンプトや互換性のある既存プロジェクトを、別途デプロイの仕組みを組むことなくホストされた体験に変えたいときに使います)

要点は「生成」だけでなく「ホスティング」まで含む点です。従来もチャットAIにWebサイトのコードを書かせることはできましたが、公開するには利用者側でホスティング先を用意する必要がありました。Sitesはこの後半部分——ホスティング、URLの発行、アクセス制御、分析——をChatGPTの中に取り込んでいます。

提供状況

ヘルプセンターによると、提供状況は次のとおりです。

  • FreeとGoを除く有料プランで公開ベータとして提供。Pro・Pro Lite・Enterprise・Eduが先行し、Plus・Businessが順次追加
  • 提供開始時点でEEA(欧州経済領域)・スイス・英国では利用不可(日本はこの除外リストに含まれていません)
  • 利用場所はChatGPT Web版の「Work」、またはデスクトップアプリの「Work」「Codex」
  • 公開ベータ期間中はプランごとの利用上限があり、上限に達すると新規作成やストレージ追加、利用量の多いSiteの公開維持ができなくなる場合がある(既存Siteの編集・管理は可能)

経緯

公式の更新履歴(What’s new)をさかのぼると、Sitesは2026年6月第1週(June 1–5)の項で「ChatGPTがWebサイト・ダッシュボード・社内ツール・Webアプリ・ゲームを作成・保存・デプロイ・検査できる、OpenAIがホストする機能」として初めて告知されています。当初はCodex向けの機能でしたが、同年7月第2週(July 6–10)のChatGPT Work一般公開にともない、Workの成果物のひとつとして位置づけられ、前述のとおり有料プラン全般へ広がりました。

作成から公開までの流れ

作成の起点はプロンプトです。プロンプトに「website」という語を含めるか、@Sites をメンションするとSitesのワークフローが始まります。公式ドキュメントは以降の流れを4段階で説明しています。

  1. 記述する — 想定読者・目的・必要な挙動・使う情報を伝える
  2. 確認する — 生成された内容と挙動、データの扱いを確認する
  3. 改良する — 変更点を伝える。参考になるファイルや視覚資料があれば添付する
  4. 管理・共有する — Sitesの管理画面から再開・改良し、公開範囲を選んでリンクを共有する

注意すべき仕様として、ドキュメントは次の一文を太字に近い扱いで最上部に置いています。

Every Sites deployment URL is a production deployment. If you want to review a build before it becomes live, ask ChatGPT to save a version without deploying it.

(Sitesのデプロイ先URLはすべて本番デプロイです。公開前にビルドを確認したい場合は、デプロイせずにバージョンを保存するようChatGPTに依頼してください)

出典: 同ドキュメント

つまり、一般的なホスティングサービスにあるような「プレビュー環境」のURLは発行されず、公開は次の2段階で制御します。

  • バージョンの保存(Save a version) — デプロイ可能なバージョンをビルドして保存する。ローカルのソースプロジェクトから作った場合は、ビルドに使ったGitコミットと関連づけられる
  • バージョンのデプロイ(Deploy a version) — 保存済みバージョンを公開し、成功すると本番URLが報告される

確認してから公開する、という運用は利用者側がこの2段階を使い分けることで実現する設計です。

サイトの「形」とデータの保存

Sitesには「site shape(サイトの形)」という概念があり、必要な機能に応じてChatGPTに伝えるべき構成が変わります。公式ドキュメントの表を要約すると次のとおりです。

必要なものSitesに依頼する内容
コンテンツ主体のサイトやランディングページ永続的なアプリケーション状態を持たないSite
記録・進捗・ゲームスコアの保存D1(永続的な構造化データ向けのリレーショナルデータベース)
画像・文書・音声・動画などのアップロードR2(ファイル向けのオブジェクトストレージ)
検索可能なメタデータつきのファイルメタデータをD1、ファイル実体をR2
ワークスペース利用者の識別が必要な社内サイトワークスペース認証による利用者識別
一般公開でのサインインや外部の認証基盤認証機能を有効化したSite

ローカルプロジェクトとホスティングの対応づけは .openai/hosting.json というファイルに保存されます。リレーショナルデータベースを使いファイルストレージを使わないSiteの例として、ドキュメントは次の内容を示しています。

{
  "project_id": "<project-id>",
  "d1": "DB",
  "r2": null
}

なお「D1」「R2」という名称は、Cloudflareが提供する同名のサービス(リレーショナルデータベースのD1、オブジェクトストレージのR2)と、役割の説明まで一致しています。ただし、Sitesのホスティングがどのインフラストラクチャー上で動作しているかについて、OpenAIの公式資料には記載を確認できませんでした(2026年7月27日時点)。

一時的な表示状態(テーマの選択や閉じたバナーなど)には永続ストレージを使わず、利用者が「覚えていてほしい」と期待するデータにのみ使うように、との使い分けも明記されています。

アクセス制御は「既定で非公開」

作成直後のSiteにアクセスできるのは所有者とワークスペース管理者のみで、公開範囲は利用者が明示的に変更するまで広がりません。アカウントとワークスペースの設定に応じて、選べる範囲は次の4段階です。

  1. 所有者とワークスペース管理者のみ
  2. 選択した利用者・グループ(対応環境のみ)
  3. ワークスペース内の全員(対応環境のみ)
  4. インターネット上の誰でも(公開が許可されている場合のみ)

Enterpriseワークスペースでは一般公開が既定でオフになっており、管理者が有効化しない限りメンバーは公開できません。また「共有」はあくまで閲覧の許可であり、編集権限は付与されません。

これとは別に、Site自体に「Sign in with ChatGPT」というサインイン機能を組み込むこともできます。一般公開のSiteをサインインなしでも閲覧できるままにしつつ、サインインした訪問者にだけ進捗の保存や個人化された表示を提供する、という構成が例示されています。公開範囲の設定とSite内のサインイン機能は独立した制御である、という点も明記されています。

分析機能とカスタムドメイン

デプロイしたSiteのトラフィックは自動で記録され、分析用のSDKを追加しなくても、ユニーク訪問者数とページビュー、その時系列推移を管理画面で確認できます(Enterpriseワークスペース所有のSiteでは現時点で利用不可)。なお、ドキュメント内の管理画面の例では、Siteは openai.chatgpt.site のサブドメインでホストされています。

カスタムドメインは、利用者がすでに所有しているapexドメインまたはサブドメインを接続する方式です。Sitesがドメインを取得してくれるわけではなく、利用者自身がDNSレコードを変更できることが前提になります。手順は、Siteの設定画面でドメインを入力し、提示されたDNSレコードをドメイン事業者側で追加して反映を待つ、という一般的なものです。Enterpriseワークスペースでは提供開始時点でカスタムドメインを利用できません。

環境変数とシークレットはSiteの設定画面で管理し、プロンプトや添付ファイル、Siteのコンテンツ、.openai/hosting.json には秘密の値を書かないよう明記されています。値を変更した後は、承認済みの保存バージョンを再デプロイすることで反映されます。

制限と禁止事項

公式資料が挙げる制限のうち、導入判断に関わりそうなものを挙げます。

  • 対応するのはSitesのランタイムで動作するWeb体験のみで、一部のフレームワーク・プライベートネットワーク・データベース・バックグラウンドサービス・ホスティングパターンは非対応
  • 提供開始時点でデータレジデンシー(保存場所の指定)・推論レジデンシーは非対応。デプロイされたSite・コード・D1/R2のデータ・生成物・ログのすべてが対象
  • PHI(保護対象保健情報)や決済カード情報の処理、13歳未満(または各法域のデジタル同意年齢未満)を対象とするサイト、マルウェア配布、フィッシング、人や組織へのなりすましなどは禁止。なお物販や課金自体は、第三者の決済代行サービスを経由する形であれば可能で、その場合の販売・配送・返金・税務等の責任は利用者側が負うとヘルプセンターは説明しています
  • 学習データとしての利用は、Business・Enterprise/Eduでは既定で行われません。Free・Go・Plus・Proでは「すべての人のためにモデルを改善する」設定がオンの場合、Siteの作成・編集・管理を含む会話が学習に使われることがあります

このほか、OpenAIはポリシー違反のおそれがあるSiteを削除・制限することがあり、誤削除に対する不服申し立ての窓口も用意されています。

まとめ

  • ChatGPT Sitesは、プロンプトからWebサイト・Webアプリ・ゲームを生成し、OpenAIのホスティングで公開・共有まで完結させる公開ベータ機能です。2026年6月にCodex向けに登場し、7月にFreeとGoを除く有料プラン全般へ拡大しました(EEA・スイス・英国は提供開始時点で対象外)
  • デプロイ先URLはすべて本番であり、プレビュー環境はありません。「バージョンの保存」と「デプロイ」の2段階を使い分けて公開前の確認を行う設計です
  • データ保存はD1(リレーショナルデータベース)とR2(オブジェクトストレージ)で、用途に応じた「site shape」をプロンプトで伝えます。名称はCloudflareの同名サービスと一致しますが、基盤インフラについての公式の記載は確認できませんでした
  • アクセス制御は既定で非公開(所有者と管理者のみ)で、一般公開には明示的な設定変更が必要です。Enterpriseでは公開自体が既定でオフです
  • 分析機能は組み込みで、ユニーク訪問者数とページビューを追加設定なしで確認できます。カスタムドメインは自己所有ドメインのDNS設定で接続します
  • PHIや決済カード情報の処理などの禁止事項と、プランごとの学習データの扱いには導入前の確認が必要です

参考