Webサイトの表示速度改善を検討するとき、必ずといっていいほど候補に挙がるのが画像フォーマット「WebP(ウェッピー)」です。本記事では、WebPの概要から導入のメリット・デメリット、ブラウザ対応状況、そして画質の担保についてまで、導入判断に必要な情報をまとめて解説します。

まずは手元の画像で試してみる

WebPの効果を実感するいちばんの近道は、実際に変換してみることです。Googleが提供する無料ツール「Squoosh」なら、ブラウザに画像をドラッグ&ドロップするだけで、変換前後の見た目をスライダーで見比べながら、削減後のファイルサイズがその場で表示されます。インストールも登録も不要ですので、お手元の写真が何%軽くなるのか、読み進める前にぜひ一度体感してみてください。

WebPの概要

WebPは、2010年にGoogleが開発・公開した画像フォーマットです。名前は「Web」と「Picture」を組み合わせたもので、その名の通りWeb上での画像表示に最適化されています。拡張子は「.webp」、MIMEタイプは「image/webp」です。2024年にはIETFによりRFC 9649として正式に仕様が標準化されています1

従来のJPEG・PNG・GIFの置き換えを目的に設計されており、次のような特徴を1つのフォーマットで兼ね備えています23

  • 非可逆圧縮(JPEG相当)と可逆圧縮(PNG相当)の両方に対応
  • 透過(アルファチャンネル)に対応 — PNGのような背景透過が可能
  • アニメーションに対応 — GIFの代替としても利用可能

つまり、これまで用途によってJPEG・PNG・GIFを使い分けていた機能を、WebP1つでカバーできます。

導入のメリット

1. ファイルサイズを大幅に削減できる

WebP最大のメリットはファイルサイズの小ささです。Googleの公式ドキュメントによると、可逆圧縮ではPNGより26%小さく、非可逆圧縮では同等の画質(SSIM品質指標)でJPEGより25〜34%小さくなるとされています2。これらの数値はGoogleが公開している圧縮効率の比較検証(WebP Compression Study / Lossless and Alpha Study)に基づくものです45

画像はWebページのデータ転送量の大部分を占めるため、この削減効果はそのまま表示速度の改善につながります。

2. 表示速度の向上によるユーザー体験・SEOの改善

ページ表示速度はGoogleの検索評価指標(Core Web Vitals)にも影響します。GoogleのPageSpeed Insightsでは「次世代フォーマットでの画像の配信」が改善項目として提示されており、WebPの利用が推奨されています。表示速度の改善は直帰率の低下やコンバージョン率の向上にも寄与します。

3. 通信コスト・サーバー負荷の削減

ファイルサイズが小さくなる分、サーバーの転送量やCDNの配信コストも削減できます。アクセス数の多いサイトほど効果は大きくなります。

導入のデメリット・注意点

1. 一部の古い環境では表示できない

主要ブラウザは対応済みですが、Safari 13以前(2020年以前のiOS/macOS)や、サポート終了済みのInternet Explorerなど、古い環境では表示できません。企業の社内システムなどでレガシー環境が固定されているケースには注意が必要です。

2. 対応していない編集ソフト・サービスがある

一部の画像編集ソフトやSNS・外部サービスでは、WebPをそのまま扱えない場合があります。素材のやり取りや二次利用を考えると、オリジナルはJPEG/PNGで保管し、WebPは配信用の変換先として使う運用が安全です。

3. 変換の手間が発生する

既存画像の一括変換や、アップロード時の自動変換の仕組みづくりが必要です。もっとも、後述するツールやCMSプラグインを使えば、この負担はかなり小さくできます。

4. 非可逆圧縮画像の再編集には不向き

非可逆圧縮したWebPを繰り返し編集・再保存すると画質が劣化していきます。この点でもオリジナルデータの保管が重要です。

ブラウザ対応状況(2026年時点)

Google公式ドキュメントおよびMDN Web Docsによると、WebPは主要ブラウザすべてでネイティブサポートされています23

ブラウザ 対応状況
Google Chrome 対応
Microsoft Edge 対応
Firefox 対応
Safari 対応(バージョン14以降・2020年〜)
Opera 対応
Internet Explorer 非対応(2022年にサポート終了)

ブラウザ対応データベース「Can I use」の統計では、世界の約96〜97%の閲覧環境でWebPが表示可能です6。非対応となるのは、IEや古いiOS/macOS端末のSafari、Chrome登場以前の古いAndroid標準ブラウザなど、ごく一部のレガシー環境に限られます。

非対応環境へのフォールバック

残りの数%の環境にも配慮する場合は、HTMLの<picture>タグでJPEG/PNGへの出し分けが可能です。この手法はMDNのリファレンスでも推奨されている標準的な実装です7

<picture>
  <source srcset="image.webp" type="image/webp">
  <img src="image.jpg" alt="画像の説明">
</picture>

WebP対応ブラウザにはWebPが、非対応ブラウザには自動的にJPEGが表示されます。このほか、Google公式FAQではサーバー側でAcceptヘッダーを見て出し分ける方法(コンテンツネゴシエーション)なども紹介されています8

画質はどこまで担保できるのか

「圧縮率が高い=画質が悪い」わけではありません。Google公式FAQによると、WebPの非可逆圧縮は画質を損なうことなくJPEGより平均30%高い圧縮率を実現します8。この根拠として、Googleは画質評価指標(SSIM/PSNR)を用いた大規模な比較検証結果を公開しています4

品質を担保するためのポイントは次の通りです。

  • 品質パラメータの調整: 変換時に品質(0〜100)を指定できます。写真であれば品質75〜85程度で、見た目の劣化がほぼ分からないままサイズを大幅に削減できるケースが多いです
  • 変換前後の目視確認: 冒頭で紹介した「Squoosh」を使うと、変換前後の画像を並べて比較しながら品質と圧縮率のバランスを調整できます
  • ロゴや図版は可逆圧縮を選択: 文字やベタ塗りが多い画像は、劣化ゼロの可逆圧縮(PNG代替)を使えば完全に画質を維持できます
  • 数値での効果測定: 導入後はPageSpeed Insightsなどで表示速度の改善を数値で確認しましょう

導入方法・変換ツール

  • cwebp / dwebp: Google公式のコマンドラインツール。libwebp(リファレンス実装)に同梱されており、大量画像の一括変換に向きます2
  • Squoosh(Google提供): ブラウザ上で品質を確認しながら変換できる無料ツール
  • WordPressプラグイン: 「Converter for Media」「EWWW Image Optimizer」など。アップロード時に自動変換し、非対応ブラウザには元形式を配信してくれる
  • CDNでの自動変換: 一部のCDNサービスはブラウザ判定によるWebP自動配信に対応

補足:さらに新しいフォーマット「AVIF」について

WebPよりさらに圧縮率が高いAVIFという次世代フォーマットもあります。MDNはAVIFについて、優れた圧縮性能を持つ一方でブラウザ対応の歴史が浅いため、WebP・JPEG・PNGでのフォールバックを用意することを推奨しています3。まずは互換性の高いWebPから導入し、必要に応じてAVIF→WebP→JPEGの多段フォールバックを検討するのが現実的です。

まとめ

  • WebPはGoogle開発の画像フォーマットで、JPEG・PNG・GIFの機能を1つでカバー
  • 同等画質でJPEGより約25〜34%、PNGより約26%軽量化でき、表示速度・SEOに好影響
  • 主要ブラウザはすべて対応済みで、約96〜97%の環境で表示可能
  • 非対応環境には<picture>タグでのフォールバックで対応可能
  • 品質パラメータの調整とツールでの目視確認により、画質を保ったまま導入できる

表示速度の改善は、ユーザー体験・SEO・コスト削減のすべてに効く施策です。まずは主要ページの画像から、WebP化を試してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. IETF「RFC 9649: WebP Image Format」 https://datatracker.ietf.org/doc/rfc9649/

  2. Google for Developers「An image format for the Web | WebP」 https://developers.google.com/speed/webp 2 3 4

  3. MDN Web Docs「Image file type and format guide(画像ファイルの種類と形式ガイド)」 https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/Media/Guides/Formats/Image_types 2 3

  4. Google for Developers「WebP Compression Study」 https://developers.google.com/speed/webp/docs/webp_study 2

  5. Google for Developers「WebP Lossless and Alpha Study」 https://developers.google.com/speed/webp/docs/webp_lossless_alpha_study

  6. Can I use「WebP image format」 https://caniuse.com/webp

  7. MDN Web Docs「<picture>: 画像要素」 https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Reference/Elements/picture

  8. Google for Developers「Frequently Asked Questions | WebP」 https://developers.google.com/speed/webp/faq 2